このたび、「日本ポルトガル協会」の会長に選任されました四宮信隆です。よろしくお願いいたします。
ポルトガル、それはアズレージョの色彩、ジャカランダの花、テージョ川の4月25日橋、世界遺産の数々、ドウロ川沿いのブドウ畑、緑豊かなアソ-レスやマデイラの島々、石畳の歩道に漂う「いわし祭り」の香り、日本公園の「日本祭り」、そして何よりも親切なポルトガル人のことなど、思い出は尽きません。
昨年秋、ポルトガル勤務を終えて帰国し、この魅力的な国との縁は今後も続くだろうとの予感はありました。しかし、「協会」の池田昌之会長から後任をとの要請は予想外でした。他に適当な人がいらっしゃると考え辞退しましたが、強い説得に、関係者のご協力のもと自分も微力を尽くすべきだと思い定め、お受けすることになった次第です。
ポルトガルでの3年間は、ちょうど経済・財政危機の時期でもありました。厳しい緊縮政策で政府も国民も多大の困難と格闘する様子を日々目撃し、普段は温厚なポルトガル人が逆境に耐える姿に芯の強い国民性を感じ、同情とともに敬意を覚えました。
国際的な財政支援の末期には、自力で市場から資金調達ができるまでになり、懸念された国際支援の延長も回避できたのです。
先般、現役総理として初めて安倍首相がポルトガルを訪問され、広範な分野での協力に合意するなど、日本との関係も新たな段階に進みつつあります。ポルトガル政府は、危機克服の一環として日本との経済関係の強化を切望し、昨年の経団連ミッション訪問の際には大統領や首相、外相などが一行を熱烈に歓待してくれたのは印象的でした。
生産性の向上など基本的な課題の解決にはまだ時間がかかるでしょうが、危機を乗り越え、未来への希望が開けてきたのが現在のポルトガルではないでしょうか。
それにしても、日本では歴史の中のポルトガルは別にして、現代のことは広く知られていません。今日の文化や社会、経済などに相互理解を深め、多方面の交流や国際社会での連携を進めるなど、未開拓なテーマはたくさん存在します。
地方同士の交流も根付いており、日本各地に友好協会や姉妹都市が多いのも心強いところです。「協会」では、両国の政府だけでなく各地の友好団体とも引き続き協力しながら、状況を見つつ新しい活動も企画し、両国の交流に貢献したいと思います。
最後に、「協会」の長い歴史と実績を思い起こし、これらを担われた方々に改めて感謝と敬意を表し、今後の発展のため、引き続き皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、ご挨拶とさせて頂きます。